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LORC研究叢書『地域公共人材叢書』

この叢書は2003年度から5ヵ年間、龍谷大学地域人材・公共政策開発システム・オープンリサーチセンターが、文部科学省の私学研究高度化事業補助を受けて進めてきた研究プロジェクトの主要な学術的成果を3巻にまとめたものである。


私たちがこの研究プロジェクトを企画した基本的な問題意識は、20世紀末になって日本社会の構造改革がようやく本格的化したにも関わらず、その主要な方向は効率化と市場化に偏り、地方分権時代における地域社会とそこに住む人々の主体性に基づいた公益・公共性の再構成に関する議論や、主体的な活動を担保する人材や公共政策を育て発展させる社会システムに関する議論など、グッドガバナンスに対応する社会構造改革の内実を支える社会システムのあり方に関する議論が決定的に不足していることに対する危機感であった。


この社会的課題は、個々の機関における政策論の高度化や人材育成の制度整備によって解決できるものではなく、社会の各セクター間の役割分担や個々のアクターにおける主体性の確立を前提とする社会的協働の確立とその社会的認知など、ガバナンス型統治システムの理論的・制度的研究に基づく社会システムの変革によってこそ解決されるべきものである。


(中略)


本研究プロジェクトでは、主として理論研究を担当する「分権時代の地域人材、公共政策開発システム」研究班、具体的な教育研修システム開発にかかる「地方公務員とNPO職員養成のための地域人材・公共政策開発システム」研究班、その教育研修を社会的に機能させる「教育・研修システムの評価および認証」研究班、国際社会における地域開発の概念整理と研究成果のアジア・アフリカ地域における応用研究を推進する「参加形開発と国際協力システム」研究班、の4つの研究班が相互に研究成果を共有し総合化する体制をとり、理論研究と実践活動を架橋する研究方法をとった。


(中略)


本叢書では、本研究プロジェクトの主要な到達点を反映して、1)分権時代における協働型ガバナンスにおける、各セクターと個別主体が重層的複合的に機能する「マルチパートナーシップ」、2)セクター間の文化的・機能的壁を越えて社会的活動や政策形成をコーディネートすることができる「地域公共人材」とその新たな教育・研修システム、3)「地域公共人材」育成にかかるセクター横断型の教育・研修プログラム及び資格の認証にかかる「社会的認証」、4)「マルチパートナーシップ」、グッドガバナンスおよび「持続可能な社会」を包含する新たな公益概念構築の可能性の4点をめぐって、実践的な研究活動の成果を踏まえつつ社会改革の方向性が論じられている。


(編者「叢書の発刊に当たって」より)

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フェーズ1
第1巻『参加と協働の地域公共政策開発システム』

LORCの研究プロジェクトとしての課題設定のひとつは、地域の新しい公共政策を開発するシステムをどのように提示するかであった。第1巻『参加と協働の地域公共政策開発システム』の位置づけはこの課題に対する到達を示すことにある。

現代の地域公共政策において、課題と目標、担い手、プロセス、そしてフレームワークは、これまでとは大きく変化している。LORCの研究プロジェクトでは、具体的な政策課題を取り上げて地域政策論を論じることを柱にするスタイルをとらなかった。変化の方向性と射程を確かめる作業を抜きにして、いわば経験主義的に地域政策論を論じることは、現代的研究課題へのアプローチとしてふさわしくないと考えたからである。

現在、中央政府から地方政府への権限委譲、政府と民間の役割分担の見直しを含みながら、世界的な規模で分権化が展開しつつある。私たちはそれぞれの国と地域において、地方政府と地域社会のあり方を議論する必要に迫られている。

またそれと同時に、民主主義とりわけ地域民主主義の機能不全ないし危機も認識され、地域社会に民主主義の深化をもたらすような、新しい地域公共性のフレームワークの議論の必要性が高まっている。

叢書第1巻の大きな目標は、これらの課題を持続可能な地域社会を実現するためのローカルガバナンスをいかに構想するかという視点に落とし込むことによって、地域公共性概念、持続可能な地域社会像、新しい公民関係、それらを支えるような地域公共政策開発の方向性を提示しようとすることにある。

(編者「はしがき」より)

第1部 新しい地域公共政策開発システムの前提を考察する
 第1章 公共性概念の再構築とローカルガバナンス(新川達郎)
 第2章 持続可能な社会と地域公共政策開発システム (白石克孝)
 第3章 現代国家における公共政策の変容とローカルガバナンス
  ―福祉国家と雇用問題の観点から(石田徹)
第2部 参加と協働の地域公共政策開発システムを構想する
 第4章 英国における地域公共政策の変容とパートナーシップ政策 (小山善彦)
 第5章 英国の地域戦略パートナーシップ(LSP)と地域合意契約(LAA)
  ―マルチパートナーシップを促す地域再生政策の仕組みと実践に向けた取り組み(的場信敬)
 第6章 生存科学と地域公共政策開発システム(堀尾正靭)
 第7章 高島市における参加協働型政策研究―地域パートナーシップにおける大学の役割(広原盛明)
第3部 地域公共政策システムの課題を洞察する
 第8章 LORC研究の世界的意義づけ (斎藤文彦)
 第9章 日本の地域公共政策開発システムへのLORCからの提起
  ―持続可能性とガバナンスの架橋(白石克孝)
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フェーズ1
第2巻『地域公共政策をになう人材育成―その現状と模索―』

第2巻『地域公共政策をになう人材育成―その現状と模索』は、LORCが提起してきた「地域公共人材」という視角、そこからあらわれる人材層のさらなる醸成の可能性を論じるためにまとめられた。各章はそれぞれLORCの研究活動にとって重要な役割を果たした研究者やスタッフによって執筆されている。

LORCにとって重要なキータームである「地域公共人材」は、センター名にもあるように当初は「地域人材」として表記されていた。しかし、研究活動をすすめていくなかで、その活動する領域としての公共空間、社会を共有する主体をつなげる公共性が強く意識されていくなかで「地域公共人材」と用語を変えた。このキーターム自体が、LORC研究活動の深化を示すものともいえる。

5年の研究活動をへて、「地域公共人材」という概念そのものについて正確で明らかな学術上の定義をえたかといえば、そうではない。「地域公共人材」とは、編者らの認識でいえば、「地域公共政策の過程をになう人材」であり、「市民社会セクター、市場セクター、政府セクターの区別にかかわらず存在し」、「組織やセクター内だけでなくセクター間の壁をこえて、その政策目標達成のためにパートナーシップをむすび活動できる人」である。限られたプロフェッショナルやエリート層をさす視角ではなく、第1章でみるように、その能力また職業性はおおいに幅がある。公共政策がひとびとのくらしの基盤にあるこんにちの社会構造をみれば、現在活動していなくとも、将来、地域公共政策にたいして関心ないしは利害をもち、その政策目標のために活動する可能性はあらゆるひとびとに存在する。こうした潜在的「地域公共人材」層をふくめれば、それがさす範囲はほとんど「市民」と同意であるといえよう。

(中略)

本書は、このような地域公共人材、あるいはそれにあたる層が社会において活力をもって活動を展開することの重要性、したがって、そうした層が社会にゆたかに涵養されるための、現状と課題、そして先駆する模索の事例を論じている。

(編者「はしがき」より)

第1章 「地域人材への視座」(土山希美枝)
第2章 「公共政策系専門教育の現状と動向」
 1 日本における大学院教育と公共政策系大学院(田村瞳)
 2 英国における<現代化>政策と公共政策系大学院教育(新井健一郎)
 3 米国の行政学修士教育と人材育成(坂本勝)
第3章 「地方政府職員研修の調査と検証―日本と6カ国調査」
 1 人事戦略としての自治体職員研修を(土山希美枝)
 2 途上国の自治体職員育成(斎藤文彦・新井健一郎)
第4章 「地域政策をになう人材育成の模索と課題」
 1 自治体協働研修の成果、課題と標準化―熊本市、草津市での試行(林田久充・西田俊之)
 2 「行政の改革」と自治体職員の能力開発―多治見市とLORCの共同研究の成果から(大矢野修)
 3 「志の森」大学の実験(木原勝彬)
 4 市民社会セクターをささえるための人材育成(深尾昌峰)
第5章 「地域公共人材層を醸成する社会へ」
 1 「協議コミュニケーションの装置としての地域メディア
  ―関係をつむぎ市民ジャーナリズムを担う地域人材育成」(松浦さと子)
 2 地域人材層を醸成する教育と研修のシステム(土山希美枝)
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フェーズ1
第3巻『地域公共人材教育研修の社会的認証システム』

第3巻 『地域公共人材教育研修の社会的認証システム』は、協働型社会における「地域公共人材」の教育研修システムの社会的認知及び「地域公共人材」と資格制度による人材の社会的最適配置を実現するための社会的システム設計に関する議論と提言を扱う。

第1章では、本叢書第1巻及び第2巻の議論を受けて、分権時代における地域社会の構造転換を、福祉国家から社会的主体間のパートナーシップが機能するガバナンス型国家へのパラダイム転換の視点から整理し、地域社会のガバナンスを主導する「地域公共人材」の位置づけとその育成を議論する基礎的な論点を提示している。

(中略)

第2章では、マルチパートナーシップを担う地域公共人材の育成に関与する「公共政策系高等教育機関」、とりわけ専門的能力の育成に主要な役割を期待されている「公共政策系大学院・専門職大学院」における人材育成システムについて、その教育システムの質に対する社会的認証評価のあり方を論じる。

(中略)

第3章においては、公共政策系教育に留まらず地域公共人材のキャリアパス全体をカバーする人材の育成と社会的流通につながる、専門職業人の研修を含む総合的な人材育成の重要性を前提に、教育・研修システムとその周辺システムの全体像を示すことを目指している。

(中略)

最終章の第4章では、LORC研究プロジェクトの後半において研究内容の深化と広がりを踏まえて、京都府内の産官学民のすべてのセクターの参加を得て設置された「(仮称)地域公共人材開発機構研究会」がその研究成果として2007年に公表した「(仮称)地域人材開発機構」の創設に関する提言を紹介しつつ、第3章までに論じられてきた地域公共人材の育成・研修及び資格付与に関する地域社会システムの構築について論じる。

(中略)

なお、あとがきに代えて、マルチパートナーシップ型社会へのパラダイム転換に関する短い考察を補論「持続可能な社会へのパラダイムシフトと地域公共人材」を付け加えた。福祉型国家からのパラダイム転換に関する議論は最近多様な分野で論じられているが、ここでは本研究プロジェクトの到達点から展望される新たな研究課題、特に、持続的社会における「公益の構造化」を通じたパラダイムシフトの視点から、ガバナンス型民主主義・マルチパートナーシップ・持続可能性の3つの概念の相互関係に関する序論的考察の試みを簡潔にまとめる。

第1章 セクター間補完関係を支える地域公共人材(富野暉一郎)
 1 はじめに
 2 分権時代における地域社会の構造転換
 3 分権時代における新たな公共性と地域社会における自治体の位置付け
 4 公共性の再構築とマルチパートナーシップ
 5 「地域公共人材」を考える
 6 地域公共人材開発機構による地域「公共」人材のセクター間最適配置と流動性の確保
第2章 公共政策系高等教育の評価・認証制度の世界的動向
 1 認証評価システムと公共政策系大学院の質保証
  -「高度地域人材育成」の視点を加味しつつ(早田幸政)
 2 米国の行政大学院と社会的認証(坂本勝)
 3 ドイツの高等教育改革と認証評価機関(坂本勝)
 4 英国高等教育機関における評価・認証システム(小山善彦)
第3章 公共政策系教育研修の質保証と資格制度
 1 地域公共人材育成の社会的制度化―自治体職員の人材育成を主題に(大矢野修)
 2 主体的取組みによる地域公共人材の質の向上―日本の事例から(川村喜芳・室雅博・林田久充)
 3 米国における公共政策系大学院に対する質保証システムとその課題(早田幸政)
 4 英国における専門職能教育プログラムと資格取得システム(小山善彦)
第4章 (仮称)地域公共人材開発機構の創設に関する提言について(富野暉一郎)
 1 本提言の主旨
 2 (仮称)地域公共人材開発機構の活動範囲
 3 対象とする教育研修プログラム
 4 (仮称)地域公共人材開発機構の体制および組織等
 5 地域認定資格について
 6 機構設立に向けたロードマップ
結びに代えて(補論):現代社会における公益のパラダイムシフトとパートナーシップ型社会(富野暉一郎)
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