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亀岡ファーマーズディナー「食の未来を切り拓く持続可能な食と農」が開催されました【LORC】

2023.02.09

会場の様子

2月5日(日)、京都府亀岡市で亀岡ファーマーズディナー「食の未来を切り拓く持続可能な食と農」が開催されました(主催:亀岡ファーマーズディナー実行委員会[構成:亀岡市有機農業推進協議会、亀岡市役所、龍谷大学])。

農村地域は食料生産だけでなく、生物多様性の保全、災害防止など、多様な役割を担っています。一方で高齢化、人口減少が進み、農村の社会経済を支える基盤である農業も様々な課題が山積しています。一方で、地球規模ですすむ気候変動の緩和や変化する環境への適応も喫緊の課題となっており、その解決に農業が果たす役割は大きいものがあります。2021年には日本政府も「みどりの食料システム戦略」を策定し、耕地面積の25%を有機農業によるものに変えるなど、大きな変革期を迎えています。

亀岡市はこの動きに連動し、地域の持続可能性と地域活性化との両立をめざし、有機農業を推進するため「オーガニックビレッジ宣言」を行う予定です。

本行事は、その記念イベントとして位置づけられるとともに、龍谷大学政策学部の大石尚子准教授が代表を務めるLORCの研究課題「中山間地域(日伊)の農業/農村のソーシャルイノベーション研究―国際的・学際的な研究組織でイタリアの先進事例に学ぶ」とのコラボレーションとして実現しました。

7人の農業者、研究者がこの行事への参加のためにイタリアから来日し、イタリアでの農業活性化の取り組みを伝え、参加者と交流しました。

イタリアからの参加者
Antonio Stasi
Giancarlo Cotella
Giuseppe Savino
Magda Bolzoni
Mariarosaria Lombardi
Maurizio Prosperi
Roberta Pacelli

当日の概要は次のとおりです。

亀岡市有機農業推進協議会副会長で京都大学大学院農学研究科教授の秋津元輝氏が、亀岡オーガニックビレッジ構想について紹介し、生産者だけでなく広く市民が参加できるものをつくっていきたいとの決意が述べられました。

秋津氏による講演

続いて、イタリアから来日した農家でVa’zapp(イタリアで農業・農村の新たな価値を生み出す活動に取り組む若者グループ)発起人でもあるジュゼッペ・サヴィーノ氏から、農村におけるソーシャルイノベーションの出発点となるワークショップ「Contadinner」(コンタディナー、日本語で農家のための夕食会、英語でfarmers dinner)の概要について紹介がありました。

ジュゼッペ・サビーノ氏(左)

サビーノ氏によれば、Contadinnerを始めるには、まず開放してくれる農家探しから始まります。イタリアの農家も、他者との交流が苦手という日本の農家と似た特徴があるそうです。参加者は自ら生産した農産物を持ち寄り、顔の見えるよう円形に配置された椅子に座り、二人ペアになって自己紹介しあいます。そこで聞いた相手の紹介を、その場の全員に共有することで、自己紹介よりも深い関係構築が可能となります。イタリアで始まったこの取り組みは、複数の学術論文でも効果が検証され、他のヨーロッパの地域にも広がっています。

サビーノ氏のお話のあと、実際に参加者が二人ペアになってContadinnerワークショップを体験しました。進行は龍谷大学政策学部の学生が担い、ワークショップ終了後その効果を把握するためのアンケートが実施されました。

Contadinnerワークショップ

後半はみなさんお待ちかね、フードコーディネーターの福吉英貴氏プロデュースの夕食会。桂川孝裕による乾杯の発声のあと、可能な限り亀岡産で環境に配慮されて生産された農産物や、イタリア産のチーズなどをふんだんに使った手作り料理、日本酒とワインなどが振る舞われ、参加者は交流を深め、広げることができたようです。

乾杯の発声をする桂川亀岡市長

夕食会のメニュー
亀岡産野菜の霧のバーニャカウダ
ミネストローネ
亀岡牛ボロネーゼパスタ
亀岡牛タリアータ
デザート

なお、この行事のために龍谷大学政策学部学生が、亀岡の4人の有機農家を訪ね、インタビューした結果をパンフレットと動画にまとめました。会場では動画が放映され、参加者が見入っていました。

本行事の企画から関わって活きた学生たちが一言メッセージを贈った
参加した農家が持参した野菜
イタリアからから持ってこられた食材
最後に参加者全員で記念撮影