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包摂的発展研究ユニットの研究会が開催されました。【LORC】

2023.02.03

2023年2月1日、包摂的発展研究ユニットの研究会に、建築家であり磯崎新アトリエ・スペイン代表、在バルセロナ50年の丹下敏明氏をお招きし、「オーバーツーリズムが加速させる建築アイコンの消費:ガウディのサグラダ・ファミリアを例に」をテーマにご講演いただきました。

日本においてサグラダ・ファミリアは、ガウディの代表作のように扱われ、またメディアもそのように報道していますが、実は決してそうではないということを、歴史的な流れ、膨大なデータから問われました。その要点は以下にまとめられます。

第一に、ガウディがサグラダ・ファミリア建設に参加した時、すでに工事は他の設計者の案で着工していたこと、第二に、ガウディ自らが建設を担当した部分は、全体から見れば10%にも満たないこと、です。ガウディは、ライフワークとして43年間サグラダ・ファミリア建設に携わりましたが、最後まで設計図を完成させず突然死し、残された弟子たちによって石膏模型の断片を貼り合わせるなどして建設を続行していきました。

そして現在までに完成したサグラダ・ファミリアの形は、当初発案者が求めた贖罪の教会というにはあまりに華美で、特に身廊の高い天井と、ステンドグラスの光が観光客の主な目玉となってしまっています。もともとは信者の寄付によって建設されるはずだったサグラダ・ファミリアですが、現在では観光収入によって成り立っており、本来開かれるべき場所は、建築アイコンとして観光に消費されています。

最後に丹下氏は、「サグラダ・ファミリアはガウディの作品なのか?そうだとしたら、最大の愚作なのではないのか。」と、締めくくりました。